澄野一樹・著、技術者小説『インピーダンス・マッチング』とその続編の合本のアプリ版です。
(本書は2010年11月にオンブックより刊行されたものの電子書籍版です。)
続編では、主人公・上田由理に、出荷した無線システムで通信エラーが発生するという知らせが入る。電波の遮蔽や反射が原因だと考えるのだが、次第に原因が絞られていき、意外なものが原因であることが判明する。また、同期の七瀬彩香が、退社した桐島と会ったと、由理に連絡してくる。彩香と桐島の間がどうなっても自分には関係ない、と由理は思うのだが……。
業界人以外には馴染みの薄い技適の様子が描かれ、電子技術者にとっては「発振波形が正弦波となることの背景にある意味」が理解できる。
他にも、人事査定や測定器データのとらえ方など、技術者の日常が描かれた作品。また、前作同様、音楽ネタもちりばめられている。
著者プロフィール
澄野一樹(すみの かずき)
1958年、東京都生まれ。
国立大学大学院修士課程修了(電子工学専攻)。国内メーカー勤務の電子技術者。小学生のときに「電子ブロック」に出会って電子回路に興味を持ち、 電話級(現在の第4級)アマチュア無線技士の免許を取得。高校生のときにコンピューターのプログラミングを始め、 デジタル回路や4bitCPUを使ったマイコンを製作。大学生のときにプログラミングのアルバイトをして、 初期のパソコン(8bitCPUのBASICマシン)を購入。大学院修士課程修了後、国内メーカーに入社、組込み機器のデジタル回路・ソフトウェア・高周波回路の開発に従事、現在に至る。